ポジティブすぎて離婚後の生活ばかり夢見てる人が陥りがちな失敗

離婚が成立すればそのあとは、完全なフリー。独身時代に戻れるから、なんでも好きなことができる……。

離婚は人生の大きな節目となります。できれば、よりよい人生のための再スタートにしてほしいと思います。ですから、離婚後の生活にポジティブな気持ちを強く持つことはとてもいいことです。それが、少し面倒で、エネルギーを消耗する離婚手続きを前に進めるためのパワーになるからです。

ただし、このときに1つだけ考えてほしいことがあります。それは独身にはなりますが、結婚前の自分に戻れるわけではない、ということ。結婚から離婚までの間に、確実に月日が流れています。タイムマシーンで結婚前の自分に戻ることができるわけではないのです。

たしかに独身になります。でも結婚、離婚を経ての独身。年齢も見た目も考え方も、かつての自分とは違います。いまできること、やっていいことも違います。この点に無自覚な人は、「離婚さえすればその先はバラ色」と夢見る夢子ちゃん(または夢夫くん)になっちゃいます。

慰謝料をパーッと使ってしまい、養育費が来るから大丈夫とばかりに、職を変えて、突然、自分の夢に向かって動き出してしまうといった行動。気持ちはわかりますが、それはまるで、柵が壊れて野原に走り出した羊のようなもの。一時的な解放感はたまらなく楽しいでしょうが、その向こうには自分たちを狙うオオカミもいれば、厳しい風雨も待ち受けています。崖もあるでしょう。

気づかぬうちに、自分の能力の限界を超えてしまっている人を見受けます。幸せな離婚どころか、いままで以上にただハードな日々になってしまっている人もいます。心の隙間を埋めるために必死になってしまう人もいます。そして、経済的にも精神的にも自分を追い込んでしまう人もいます。

オオカミに追いかけられて崖に落ちてからはじめて「誰か助けて」と叫んでも、ちょっと遅い。だったら、わけもわからず、パーッと駆け出すのはやめておくことです。

考えてみてください。離婚によって解決できる部分は多いかもしれませんが、解決しない部分もあるのです。たとえば経済的な自立。いまの仕事の収入で自活できるのか。できないのなら、身を寄せる場所はあるのか。実家に戻ったとき、そこでどんな仕事ができるのか。どんな人たちとお付き合いができるのか。

個人としての人間力が試されることになります。現在、離婚そのものはそれほど珍しいことでもないですし、バツイチだからと偏見を持たれることも少ないはずです。堂々としていいのです。自分の持っている力を地道に発揮していくこと。そして自分の人生を歩むこと。そんな姿に、周囲は安心し、信頼を寄せるでしょう。

新たな人間関係づくりを模索しながら、離婚で学んだ経験をプラス方向に生かしていくこと。それを着々と、確実にやっていくことが幸せな離婚につながるのです。