子どもの幸せを潰さないために親としてやっておくべきことがある

離婚のとき、もっとも辛い思いをするのは子どもです。離婚件数が増えたこともあって、両親が離婚した経験を持つ人も増えています。だからといって心の傷が癒えるわけではありません。

日本と欧米との大きな違いは、子どもの親権にあります。日本では離婚するとき、養育できるどちらから一方に親権が与えられ、一方には親権がなくなることが多いでしょう。これは民法でそう規定されているからです。未成年者の子どもは、離婚時、どちらか一方に親権を持たせることに法律で決まっているのです。

欧米では子どもは夫婦で育てるのが基本で、たとえ離婚しても、子どもから見て「父母」は一生、父母なのです。離婚後も子どもを養育する義務もあれば、親としての判断をする必要もあります。いわば共同親権です。

もちろん日本でも、親権を失った側にも離婚後の子の監護はできますので、面会交流を離婚条件としてはっきりさせておく例もあります。ただし、親権のある側が、ない側の面会を拒絶したとしても、現状では強制執行などで面会を強制することは困難で、事例も少ないそうです。

共同親権にしてしまうと、未成年者として決断をするとき(契約、進学や就労など)、親として双方の合意がないと成立しませんので、日本では混乱を避けたいことから親権をどちらかにしか認めていないのだ、と言われています。

一方、国際結婚の場合は共同親権になっている例も当然ながらあります。相手国の法律がそうなっている場合、日本側だけの法律で決められないからです(お子さんの国籍も未確定な場合はなおさら)。

国際結婚の場合は、2014年4月に日本でもハーグ条約(国際的な子の奪取の民事面に関する条約)が効力を持ちましたのでそれ以降の離婚では、16歳未満の子どもの居場所についてハーグ条約によって決められることのになります。たとえば米国で米国男性と結婚し生活していた日本人女性が、離婚をしたとき、子どもを勝手に日本に連れて来ることはできません。拉致されたとみなされて、米国に連れ戻すことになります。

海外でも、幼い子の養育は母親がするもの、という通念はあります。ただ日本国内のように親権をふりかざして子どもの居住場所を決めることはできないのです。子どもがもっとも長く生活していた国が、子どもにとっていい場所という考えです。

国際的には「子の利益」を重視する傾向が強いので、日本でもこうした考えが浸透していく可能性はあります。みなさんも離婚するときは、子どもの利益をしっかり考えてほしいものです。

たとえば伝え方。なぜ離婚するのか。「子どもは知る必要はない」なんて言っているようではダメなのです。4歳ぐらいから子どもには社会性が備わってきます。親兄弟、自分の家族と他の家族を認識しているのですから、ちゃんと伝えなければ心を痛めてしまうのです。

特に重要なポイントは3つあります。離婚に至る理由については、いつかは説明すること。そのタイミングをうまくとらえてください。そして、離婚後も、父は父、母は母なのだという点は明確に伝えておくこと。「あれは父ではない」とか「母ではない」としてはいけません。否定しないことです。同時に、相手の悪口は言わないことです。子どもには関係のないことですから。

とくに氏(名字)が変わる場合は、子どもの年齢に合わせて理解してもらうように工夫してください。