頭に来て離婚届けに判を押す前にこれだけのことは考えておこう

離婚で一番やってはいけないこと。それは、「わかった、別れる!」といきなり結論を出して、離婚届にサインをしてしまうことです。

二番目にやってはいけないことは、「そうは言ってもこれでも夫婦だから」と、一度は離婚に傾いた気持ちを、世間体や事態の複雑さ、そしていまの生活を守るほうが楽そうだ、といった気持ちからあやふやなままにして、先送りすることです。

前者は、あまりにも急すぎて、決断力としてはすばらしいとしても、細かな部分への目配り、気配りができず、かえって傷口を大きくしてしまう可能性があります。クルマでも急激にハンドルを切れば、横転したり、スリップして路肩に落ちたり、ガードレールにぶつかったりしてしまう可能性が高くなります。

あなたの離婚を事故にしてはいけません。あたかも離婚そのものが事故であるかのように言う人もいますが、だとすればなおさら、しっかりと丁寧に対応しなければ、二次災害が起こりかねないのです。

カッコのいい言葉を相手に投げつけて、スーッとしたとしても、それはただ気分だけのこと。それによってたとえば、明日からの経済的な問題に直面することもあります。お子さんの心、周囲の人たちの心を必要以上に傷つけてしまうかもしれません。場合によってはこれからの人生で重要な人たちとの関係が、ぎくしゃくてしまうかもしれないのです。

こうなると不幸は目に見えています。わざわざ不幸に飛び込むようなものです。「離婚なんてそんなもの」と思いますか? 違いますよね? 結婚して長い短いはあるにせよ夫婦生活があったわけです。短くてもそれは歴史です。完全にゼロにしてしまうことは不可能です。そのことを踏まえて離婚に向き合うことが大切です。

後者の場合は、なにも解決していません。離婚したい、離婚しようかな、と思ったとすればなにか問題が発生しているのです。それが解決したのならいいのですが、解決しないままあやふやにしておけば、いつかまた爆発します。

それに、そんな気持ちで生活をしていること自体が不幸です。なにかを変えなければ解決しませんし、幸せにはなれません。離婚しなくてもいいならそれもステキな決断です。だけど、ちゃんと問題は解決しているのでしょうか。または、解決しなくても平気だということを確認できていますか?

人間同士が一緒に生活する、いわばもっとも濃密な人間関係が夫婦なので、人間関係の基礎となるお互いの気持ちの部分については、「完全解決」はあまりないでしょうし、解決ばかりを目指すのも人生を堅苦しくしすぎるでしょう。あやふやさは、残してもいい。だけど、納得できないといけません。

離婚について考えるとき、いまカーッとなったり、あやふやにしてしまいたいと思ったりする気持ちの部分を、少し脇に置いてみてください。感情的になるのはしょうがないことなので、怒ったり嘆いたりしてもいいのです。でも、それとは別に、ちゃんと考える時間も作ってください。

これは離婚しなければ解決しませんか?
いま離婚をすることで新たな問題が発生しませんか?
新たな問題に誰と立ち向かいますか?
離婚によって影響を受ける周囲の人たちとの関係をどうしたいですか?

最低限のことです。いまは自分のこと中心でいいので、こうしたことに考えを巡らしてみてください。