交渉が揉めてなかなか離婚ができないときに焦らずに対応する方法

離婚届を出せば離婚は成立。きわめてシンプルな話ですが、実はその離婚届が作れない、提出できない、というケースもよくあります。

離婚の条件の話し合いどころか、離婚を認めないと主張し続ける相手もいるでしょう。「なんで離婚しなければならないのか」と言うわけです。

世間体を気にする人もいます。職場でのメンツを気にして離婚したくない、仮面夫婦でもいいから退職するまで離婚はないと言い張る。親の介護もあるので、なんとしてでも離婚だけはしたくないと考える人もいます。そのほか、離婚する理由と同じぐらい、離婚しない理由もいっぱいあります。

とくに、突然の離婚話に動揺している間は、冷静に考えることができません。この時に、急いでしまうと相手はまったくついて来られないので、「絶対に判は押さないから」と最後の抵抗をします。

この場合、大切なことは、時間と事実です。とくに時間については相手のこともあるので、自分勝手なスケジュールを組まないこと。もっとも性格の不一致が原因とすれば、時間についての考え方も正反対かもしれませんが、そこは、一度は結婚した相手なのですから譲れるところは譲って、話し合いをしっかりやってください。

自分が時間が取れない場合は、弁護士などの専門家を頼む必要もあるでしょう。ただ、いきなり弁護士がやってきた、というだけでさらに意固地になる人もいますので、専門家を利用するときは、専門家とよく打ち合わせをして対処することをお勧めします。

専門家にお聞きすると、わがままというか、自分勝手な依頼人のために、かえって手続きがうまく行かず「相手に同情しそうになった」なんてケースもあるそうです。また「専門家を雇ったのに、専門家の言うことをきかない」という人もいるそうです。最初は気が動転しているのかと思ったのが、いつまでたってもその調子。「コミュニケーションができないタイプなので困りました」といった声も。

こうした場合、専門家が注目するのは「事実」です。気持ちや感情はとりあえず置いておき、なにがあったのか。どうしてそうなったのか。事実だけを確認し、書面にしていく。困った依頼者、逃げ回る相手ともに、書面でのやり取りをし、それを積み上げていくこともあるのです。

これは事実になんとか向き合ってもらうためでもあり、話下手な人、感情的な人でも話を進めるための方法でもあり、同時に「時間稼ぎ」なのです。

面倒なようですが「急がば回れ」。かたくなな相手と交渉のテーブルにつくためにも、一定の時間が必要です。人間は、時間の経過とともに気持ちも考え方も少し変化します。その間に離婚について調べたり、誰かに聞いたり、相談したりもするでしょう。そのような時間は双方に必要なのです。

くれぐれも、こちらの都合で急ぎすぎないことです。どんな交渉も、急いだ側が負けます。いわゆる「足元を見られる」からです。専門家とよく話し合って、時間軸を含めたスケジュールをつくることをお勧めします。