相談する前に理解しておきたい離婚の手続きと決めておくべきこと

協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚、和解離婚、認諾離婚……。離婚にも6種類もあるのか、と驚かれたかもしれませんが、こうした法律や手続きの知識は一般的な部分だけでも知っておくと、あとあとの選択肢が広がりますので、ちょっとだけ「6種類ぐらいあったなあ」と思っておいてください。

和解離婚、認諾離婚は比較的耳馴染みながない言葉でしょうから、少し補足します。

和解離婚は離婚訴訟後に、当事者がお互いの言い分を理解し歩み寄ることができる場合、また裁判所から「そろそろ和解してはどうか」と勧められた場合に、両者の同意の上で離婚する方法です。調停時には意地を張っていた両者が、裁判になってから考え方が変わることもゼロではないので、その場合は裁判を継続して時間を費やすより和解で決定しようということです。この場合も、判決と同じ効力があります。つまりお互いに慰謝料や養育費で納得して離婚となりますので、支払いが滞った場合は強制執行もできます。

全体の離婚の流れを理解しておいてください。「まずこれをやって、これがダメならこっちへ行く」というイメージをつかんでおけば、専門家の活用のときにも役立つはずです。

また、近年、国際離婚も増えています。その多くは協議離婚です。ただ、子どもの親権、どちらの国で養育するかという点では争いが多く、2014年4月から日本もハーグ条約に加盟しましたので、それ以降の争いはハーグ条約に基づくことになります。

それぞれの方法に詳しく入ってしまう前に、もっと大事なことがあります。よく「じゃあ、弁護士に頼もう」とすぐ知人などを通して弁護士探しをはじめる人もいます。ですが、その前に、ご自身でちゃんと考えておくべきことあるのです。

なにしろ、離婚するのは自分なのです。当事者なのです。自動車を買いたからと、メーカーも車種も決めず、セールスマンを呼ぶ人は少ないはずです。「なにがいいかな」と考えるとき、「自分が運転するのなら」という条件がついているでしょう? 離婚も同じ。自分で決めて自分で進めていくのです。そこを間違えてはいけません。

いきなり専門家が来れば安心ですが、「それならこれ」みたいに、よくある事例、専門家の豊富な経験による選択で、あれよあれよという間に手続きが進んでいくこともあるでしょう。確かにスムーズかもしれませんが、それはあなた自身の幸せとは必ずしも一致していないはずです。

離婚さえすればなんでもいい、という場合も皆無ではないでしょうから、その時はいきなり専門家に任せることも選択肢としてはあり得ます。

結婚のときに、結婚届を書いて役所に出したと思うのですが、それと同じように離婚届を出せば終わり、といきたいと思ってもそうはいかないことが多いと思います。

生活を中心に考えても、いま住んでいる家はどうするか。ローンは? 名義は? このほか結婚後に築いた財産をどう分けるか。または、築いた負債をどう処理するか。

個人のことでは、氏をどうするか。誰に離婚の報告をするのか。表向きはどういう理由か言えること、言えないことの整理も必要ですね。

子どもがいる場合はその親権、養育をどうしていくのか。ペットがいる場合はどうするか。

次の生活の拠点をどこに置き、そのような収入でやっていくのか。

こうした気になることを思いつくままに書き出しながら、どうなるのが理想かを考えてみてください。そして、離婚には相手があることですから、相手にどう納得してもらうかも考えてみてください。