ちゃんと受理されるために離婚届けを出す前にチェックしておこう

時代劇では離縁のとき「三下り半」を突きつけて、それで終わり、という話になっています。離縁状です。ただ、江戸時代には文字を書けない人がいたので、文字のかわりに、紙に3本の線と、4本目を途中まで書けばOKだった、ということから三下り半と呼ばれるようになったという説もあります。

いかにも簡単な手続きです。しかも一方的です。だったら江戸時代はバンバン離婚していたのかといえば、そんなことはありなかったそうです。いまの時代よりも家族や体面を重んじていた上、双方の家族もとりなしに奔走しましたので、離縁状を預かったままにして離婚を認めないケースも多かったと言われています。

現代では夫婦の取り決めは、夫婦だけで決められますので、離婚届をすれば誰がなんと言おうと離婚は成立します。その意味では、実は江戸時代より簡単です。それなのにトラブルが跡を絶たないのは、手続きの簡便さと、離婚という人生に大きく関わる問題が必ずしも一致していないからでしょう。

簡単な手続きでも、きちんと手続きができなと受理されない場合もあるので、用紙に正確に記入してください。そして用紙に書くまでにはっきりさせておくべきことがいくつかあります。これをあいまいにしたままでは届けは書けません。

離婚したとに戸籍をどうしますか? 以前の戸籍に戻るのか。新しい戸籍をつくるのか。なお、結婚前の姓に戻さない人は、離婚届提出の日から3か月以内に別途届けをしなければなりません。

子どもがいるときは、親権はどちらか。また、子どもの名字(氏)はどうするか。必ず親権のある側の名前に合わせなければならないという決まりはありません。どちらの戸籍に入るかによって名前が決まります。そして年金の分配も決めておきます。なお厚生年金の分割の請求は離婚後2年以内にすることになっていますので、忘れないように。

協議離婚のときは証人2人の署名押印が必要です。判決離婚のときは、判決の謄本と確定証明書をそれぞれ1通。調停離婚のときは調停調書の謄本1通。審判離婚のときは、審判書の謄本と確定証明書をそれぞれ1通、添付します。このほか届け出先の市区町村によっては別途、添付書類を求めることもありますから、届け出先に問い合わせて確認をしておくことをお勧めします。

届ける先は、届出人の本籍地または所在地の市役所や区役所、町村役場です。そのとき届ける人の本人確認の書類(運転免許証など)が必要になります。

不受理になるときの多くは、どちらかから、離婚届の不受理申出を、届け先にしているときです。不受理申出をした本人が窓口に出頭して自分から届けていることを確認できない限り、届け出は受理されません。以前に、離婚届を勝手に出されたくないからと、こうした手続きをしておきながら、取り下げることを忘れていた場合など、不受理になってしまうことがありますので、気をつけてください。

注意点として、証人に友人などの夫婦に頼んだとき、押印する印は別々のものにしてもらうこと。同じ印では受理されないことがあります。

筆記具はボールペン。最近は消せるボールペンもありますので、消せないボールペンを使ってください。書き間違えたとき、訂正するときに、ホワイト(修正液)は使ってはいけません。訂正は二重線で消し、横に押印してください。